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劉慈欣『三体』

オバマ元大統領も読んで「俺が出てる会議よりもスケールが大きい話だぜ」って褒めてた。

ヒロインの父親が文化大革命で命を落とし絶望感を味わう。

時が経ち物理学者になったヒロインが宇宙に向けて、人間はもうダメだから代わりに私たちを支配してくれとメッセージを送る。

それを受け取り地球を侵略しに来る三体星人との戦いを描く。

・文化大革命の描写は書籍の発行に支障がなかったのに驚き。

・政治が上手くいっていないとき、もっと大きな存在に代わって支配されたいという発想は日本人からは生まれないなと思った。良い悪いは別として、中国人の考え方の一つとして文化の違いを感じた。

・中国の小説が初めてだったので読みやすさに驚いた。

●SFらしさ

宇宙人vs地球人ではあるが、地球人の内輪揉めから始まる。三体星人が地球に到着するまで450年かかる。それまでにどうすれば侵略を阻止することができるのかが主軸にある。

三体星人の攻撃は到着前から始まっていて、物理的に破壊活動を行う訳ではなく、人類の科学力の成長を阻害することで成される。

三体星人への協力者を選別するためにVRゲーム三体を用いて、ゲーム世界のワクワク感を書いているところが良い。宇宙人が攻めてくる王道のパターンに、ゲーム世界に入り込むタイプの王道パターンを上手く取り入れている。

また、宇宙へメッセージを飛ばす電波に関する技術、三体問題を解決するための数学的な話、三体星人が開発した智子の多次元など、一見すると堅苦しく理解できない理屈も直感的にイメージできるような内容になっている。

(正直よくわからなくて適当に読み飛ばした部分もあるが、物語の理解には支障はなかった)

一方で、三体星人に対抗すべく動き出した科学者と警官のコンビが読み易さにかなり貢献している。特に粗暴なキャラクターとして描かれている警官が経験で培った発想力で問題を解決に進めていく様子が清々しく気持ちが良い。

中国の小説は得体が知れなかったので、中々手が出づらく長い間積読していた。

想定以上に夢中にさせられたので感想を残しておくことにした。